Proprioception

Rolfing

さて、引き続き、筋膜君について蘊蓄語ってみましょう。先日よりお伝えしておりますが、筋膜の主要な機能として、身体の動き(バイオメカニクス)空間内の位置(プロポリオセプション)そして身体全体の流体の流れ。を調整する3つが挙げられています。本日はいまいちよく把握できていないプロポリオセプションについて、ウダウダ言ってみます。

このプロポリオセプション。日本語では、感覚受容器やら自己受容感覚・固有受容器などと訳されています。字面でなんとなく掴めるかと思いますが、要するに、位置・運動・および平衡に関し、体内で発生する刺激を感知する能力です。例えば、目隠しをしていても腕が頭の上にあるか、体の横にぶら下がっているかは、プロプリオセプションのおかげでわかるということです。私たち人類は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感を持つ動物ですが、20世紀半ばに、神経生理学者が自己受容感覚としてProprioceptionを提唱し、これを「第六感」として捉えられているようです。

この第六感、学術的に難しく言うと「生物内で生産され知覚される刺激、特に身体の位置と動きに関連した刺激に関連する。また腸や他の内臓で産生される刺激に関連しているモノ及び、生物の外部にある刺激に関連するモノ」として、いわゆる身体内の静的・動的位置情報を感じ取って解釈する能力を持っています。こうした感覚受容体は、関節や筋肉、内耳によるバランス器官、そして圧倒的な数の感覚受容器と最速伝達スピードを誇る筋膜を通して、絶えず脳へと情報を伝達します。これらは空間認知 (Kinesphere) として、自己の空間における認知状態を手助け、もしくは一緒に働いてるんじゃないかと感じおります。

Kinesphere

この能力のおかげで、人間はいかなる状況でも自分の思い通りに集中し行動することができている訳です。日常動作の大半は無意識に行われ、最も生死に直結する呼吸でさえ、オートマチック状態です。これは非常に便利な状態ですが、状況によって身体内から受け取るべき感覚的メッセージを、無視しやすいという欠点もあります。そうした欠点はやがて、身体内における緊張状態を生み出し、その状態を正常で自然だと感じるようになり、身体のプログラムにしっかりと組み込まれてしまうことがあるのです。

個人的に古来から、日本人の身体的感覚は、非常に洗練された文化的背景に成り立っていたと考えています。その証拠として、古より伝わる日本文化には身体感覚にまつわる話は豊富にあり、今だに語源として多々残っています。なにやら胡散臭い話を聞くと「尻がむず痒く」なり「腹が立つ」聞けば聞くほど「胸くそ悪く」なり「頭にきて」最後には「キレる」例えとして怒りの感情を表現してみましたが、こうした身体的感覚は古武術やら茶道・華道など伝統文化を通して、現代にも継承されています。ただ一説によると、古来より精進し受け継がれて来た「型」はすでに失い「形」としか残っていないという厳しい意見もあります。拝金的合理主義がメインの現代社会においては、自分の感情を抑える必要があったり、無視することで楽に生きれると勘違いされているようです。それが「ストレス」となり現代病ともいわれるモノを造り出した気がします。

つまり、この第六感への理解を深めると、これまでとは一風違った恩恵を受ける可能性が見えてきます。まず身体の調子やバランス・姿勢がより整います。そうすることで、悪い影響を生む身体の使い方や緊張状態に陥ったと感じた時、自分で気付くことができますね。そうなれば、身体と感情の関連性に意識が向き、ストレスによる無駄な疲労から脱出して、健康を持続することができるでしょう。

巷では、プロポリオセプション・トレーニングによってバランス効果やリハビリを謳っているモノもある様ですが、神経生理学上そのメカニズムはきちんと定義できていないみたいです。まぁ、何もやらないよりマシでしょうが、トレーニングでのバランス感覚を養うモノとはちょっと違うようです。

尚このプロポリオセプション、この数回に分けて説明して見ましたが、いまいち難しいですね。ロルフィングを受けただけで、向上するわけでもないようですが、キッカケを掴むには持ってコイです。時間と手間が掛かるのは私自身でお試し済みなので、それなりの根気は必要ですし、結局はご本人の心意気次第だと感じています。其れなりの「心粋」をお持ちください。

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