バランスは固定された状態ではない。バランスとは、安定と運動の相互作用に相対するものであり、サポートとは、継続的な調整を見つけることに相対するものである。同僚のアングウィン・セントジャスト博士と私は、これを”相対的バランス”と呼んでいる。
固定されたパターンは、起こるのを待っている運動表現とみなされる。拡大する運動性の場が固定パターンに直面し、葛藤が生じる。運動性が拡大し続けることが生命の本質であり、固定されたパターンがストレスへの反応として、または生存のための適応として、抵抗し続けることが必要なのだ。
私は、チューニング・ボードでのセッションに関して、5つの Surrender (降伏)という課題を特定した。surrender (降伏) とは、無力な自己放棄を意味するのではない。また、「何もしない 」という、受動的で無力な空虚さを指しているのでもない。むしろ、これまで以上にマインドをクリアに開いていく行為である。つまり、自分自身の創造的想像力と、独創的パワーの働きを邪魔しないように、自分自身と関わることを意味している。
五つの課題とは
The Tuning board™ By Darrell Sanchez Ph.D.
- 知覚の挑戦:チューニング・ボードが固定された表面ではないことに気付き、新たに自分の精神的・視覚的知覚の確立へと挑戦する。
- 努力の課題:本質から外れた外在的動作を始めるが、使用を続けることで、バランスを維持するために、より内発的で内面的な活動へと向かうようになる。外在的な動作が強調されなくなると、運動感覚と前庭機能という内在的な動作が現れる。外在的なコントロールに強く条件づけられていると、内在的な活動への移行に抵抗するのに苦労するだろう。時には、硬直したまま過敏になり、ボードの動きを止めるために筋肉を動かしたり、ボードの動きを止めようとしたりする。姿勢は反射的でなく、微妙な動きのパターンもほとんどない。外在的動作による影響は、疲労感だけだ。
- 視覚依存への挑戦:目を閉じていると、ふらつきや見当識障害が顕著に増加する。転ばないよう、気を配っていることを確信する必要がある。コントロールを得ようとすることで、外在的な努力に戻るだろう。それは、内在的な姿勢反応、運動感覚、前庭システムを信頼するよう求められている証だ。
- 他の運動への挑戦:内臓、体液、生体エネルギー場からのリズムと運動が、この状態から現れる。神秘的で、自分よりもずっと大きなものとして感じられる動きの流れに、身を委ねることができるだろうか。
- 表現への挑戦:固定観念は動きを停止させようとするが、ボードの絶え間ない動きは、身体存在を通して絶えず動きを送り込む。より深い瞑想状態が明らかになり、原型的な形が現れ、認知に直面し、感情がかき立てられる。他の意識状態に遭遇することもある。
以上これまでが、この数年間で掲載されていたダレル氏の記事抜粋。
ここで個人的に気になっている Surrender (降伏)。こちらでも出てきていたので、ちょいとご紹介。
彼は深く息を吸い、吐き、呼吸に伴う動きを際立たせる。
英語の 「surrender 」という動詞は、とても適切だ。
ルシアン:どういう意味ですか?
ウベア・ゴダール: surrenderとは、受け入れること、身を委ねること… 重力に対して…。
そのためには、支えとなる表面や土台が確実に存在することが必要です。そして、それらに対する私たちのダイナミックな反応。支えとなる表面に対して積極的で信頼できる感覚を持つことが、呼気の条件なのです。
A Breath. By Hubert Godard
日本語に直訳すると、降伏・降参・放棄、身を任せる及び委ねる、、、。と出てきます。語源から遡ると、Sur(上に、超える)render(与える、返す)なんて出てきます。
Yield的な”ゆだねる”とは、ニュアンス的に何か微妙に違う感じですが、個人的にしっくりくるのは”往生する”みたいな感じもする。ただし、ダレル氏・ウベア氏両者の説明を通して、素直に理解ると、また違った世界が観えてくる気がする。これこそ、Enbodiment が鍵になる。
ダレル・サンチェス氏 田畑浩良氏 ワークショップ 2025/10/11〜17
第一部及び二部|Rolfing® 3 Elective CE credits (要:別途登録費用)
参加費用|参加人数による価格変動制:各クラス 12万円〜17万円(消費税別)
会場|いずるば: 協力|企画室・音と光 https://www.sono-lumiere.net/
両ワークショップについての詳細は、こちらのリンクよりご確認ください。
参加応募及びお問い合わせ:ws@rolfing-den.com 受付担当|串崎