ロルフ博士は、オステオパシー、ホメオパシー、カイロプラクティックなど様々な治療法を研究した末に、身体内に拡がり全身を繋ぎ止めている筋膜組織(fascia)のネットワークに着目しました。身体全体の姿勢と動きを、重力とのバランスで捉えた理論によって、このプロセスを見出しました。
また、在命中はヨガを学んでいたことから東洋思想の影響を受け、身体の可能性を最大限に引き出すことで、精神的や感情的にも豊かになり、心と身体の繋がる重要性を、精神世界的視点からも持っていました。
『重力こそがセラピスト』とは彼女の言葉です。プラクティショナーから一方向の介入によって一時的な変化を期待するよりも、クライエントが安心した状態で変化を受け入れるスペース(間)を提供いたします。そこで必要最低限の示唆を促すことが、深遠なる気づきへと繋がり、持続性を持つと感じています。
その持続性こそが、本来ヒトに備わる自然治癒力を高めて行き、この重力場における人類進化の鍵となっているのではないでしょうか。ロルフ博士の在命当時にはまだ、ほとんど着目されていない筋膜の重要性を説いた彼女は、常に重力と寄り添いながら人類の可能性を信じていたのでしょう。